• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第45章 複雑な想い


甲子園へ向けて出発した選手達を見送る。

残った私達は応援の準備をしつつ練習をした。

夜に御幸くんからの着信。

ホテルについて、ようやく一息ついた所らしい。

「そっちはどう?」
「純先輩とか楠木先輩が来てくれたよ。
吹奏楽部との打ち合わせもばっちり。」

ただ…御幸くんがいないのはやっぱり寂しい。

甲子園練習や抽選会、開会式があって甲子園組は忙しいだろうな。

「夕方、甲子園まで歩いて行ってきたんだ。
球場の大きさ、雰囲気、匂いとか…全部すげぇの。
舞ちゃんにも早く見せたい。」

通話しながら携帯をいじってるのかな?
御幸くんからのメッセージが届いた。

「見てみて。」

「写真!撮ってきてくれたの?ありがとう。」

夕焼けに照らされて赤く染まってるように見える阪神甲子園球場。
蔦が青く茂ってる。

「甲子園に行ったら行きたい所あるんだ。」
「どこ?」
「すぐそばにある神社。ボールの絵馬があるんだって。あとお守りとかもあるらしいよ。」
「こっち来たらさ、一緒に行こうよ。」
「うん。」

御幸くんが甲子園に行ってから、毎日通話をしてる。
ランニングをしてきた後だったり、素振りが終わった後とか、自由時間に連絡をくれてた。

「たこ焼きが美味かった!」

「こっちはちょっと肌寒い。」

「そっちでやってないテレビが面白かった。」

「降谷が女の子に囲まれてた。」

「舞ちゃんに会いたい。」
切なそうな声で言われると胸がキュゥと締め付けられた。

「また明日。」
いつもそう言って電話を切る。


御幸くんが白洲くんに呼ばれて電話を切ったから、私も会いたいって思ってる事、伝えられなかったな…。

御幸くんの事を考えながら真ん丸な月を眺めていたら、スマホが再び鳴った。


「よっ!元気か?」

「俊平?!どしたの?甲子園にいるんでしょ?」

「練習時間は限られてるし、公園は遅くまで使えねぇし。
やることなくて暇なんだよ。
舞はいつ甲子園来んの?」

「試合の前日かな。俊平の見る甲子園はどんな感じ?」

「そうだなぁ…とにかくでかい!
甲子園のマウンドから見上げた空はかなり綺麗だった。」

薬師はもう甲子園練習やったんだな。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp