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ダイヤのA 御幸一也

第42章 帰り道


「おいおい、辞めろよ。彼女が隣にいるだろ。感じわりぃぞ。」
男友達がそう言ってくれたことで、ホッと胸を撫で下ろす。

「あーごめんね。彼女さん、一也とは幼なじみみたいなもんだから。深い意味はないから。」

一也って名前で呼んでるんだ…。

俊平と私みたいな感じかな。もしかして、御幸くんもモヤモヤしてたのかな?

地元の友達たちと別れて、ふたりでお参りした。

「ゴメンな、うるせぇ奴らで。」

「ううん…」

せっかくふたりでいるのに、モヤモヤしてたらもったいないのはわかってる。
楽しみたいのに、さっきの女の子の「一也」って呼ぶ声が耳にこびり付いている。

「舞ちゃん?」

「あ、ごめん…なに?」

何度か呼ばれてたみたいで、御幸くんが顔をのぞき込んでた。

「どうかしたか?」

あ…どうしたらいいんだろう…この気持ち御幸くんに伝えたら、嫌な想いさせちゃうかもしれない。
どうしよう…。

「疲れちゃったか?この先に公園があるんだ。そこでちょっと休もう。」

温かい飲み物を買ってきてくれた。

「ありがとう。」
「どういたしまして。」

御幸くんが心配してる…。このままじゃダメだ。

「寒くないか?」
「うん。」

御幸くんの肩に頭を預ける。
私の肩に腕を回して、頭を撫でてくれた。

「思ってることあるなら、言ってくんなきゃわかんねぇよ?」

そうだよね…。
御幸くんなら受け止めてくれる。そう思って、さっきのことを伝えたら、御幸くんはお腹を抱えて笑いだした。

「そんなにおかしい?」

「ハハッ、ごめん、ごめん。なんか嬉しくてさ。
それってヤキモチだよな。
舞ちゃんがヤキモチ妬いてくれたって思ったら、嬉しいよ。」

ヤキモチ…。
そっか、このモヤモヤはヤキモチなんだ。
理由がわかったらスッキリした。

「嫌なことは嫌って言ってくれよ。俺も言うし。」
「うん。」

手を繋いで、駅まで向かった。
もう帰らなきゃいけないんだ。
明日、学校に戻る時迎えに来てくれるみたい。

ちょっと遠回りなんだけど、御幸くんは一緒にいたいからって言ってくれた。
ここまでしてくれるのに、小さな事でヤキモチ妬いちゃった…。

好きって…思っていたより苦しくて難しい。

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