第42章 帰り道
私のついだビールを美味しそうに飲んでくれて、お父さんは酔いつぶれて眠ってしまった。
「よっぽど嬉しかったんだな。こんな父さん初めて見たよ。」
寝室に運びに行った御幸くんは後片付けをし始めた。
ふきんで洗った食器を拭いていく。
ちゃんちゃん焼き、美味しかったなぁ。
降谷くんが食べたいってつぶやくはずだ。
使った食器を棚に戻していく。
当たり前のように、私の分も片付けられていて、顔がニヤける。
ご機嫌だなって御幸くんに笑われた。
「よし、じゃぁ行くか。」
「ん?」
「初詣。まだだったろ?」
そっか。まだ初詣行ってなかった。眠っちゃったから。
紙とペンを御幸くんから借りてお父さんに手紙を書いた。
"お邪魔しました。
楽しかったです。ぜひまた遊びに来させて下さい。
お茶碗もありがとうございます。
嬉しかったです。
舞"
こんな感じでいいかな?って御幸くんに見せた。
「父さん、ずりぃよな。
舞ちゃんからの手紙なんて俺まだもらったことねぇのに。」
「今度書くよ。好き好き好き好きって紙一面に。」
「ホラーじゃん。」
笑いながら、手を繋いで近所の神社に。
日も落ちているけど、まだ参拝客は大勢いた。
「あーーーー、一也じゃん。
帰ってきてんなら連絡くれたら良かったのに。」
人混みを押しのけて駆け寄ってきたのは同級生くらいの男の子2人。
近所に住んでる子で、シニアに一緒に通ってた子たちみたい。
久しぶりだなぁって盛り上がってた。
「選抜出場おめでとう。」
「サンキュー。話はつきないんだが、今連れがいるから。また今度な」
「え?どこ?」
私、見えてなかったの?!
御幸くんよりもまだおっきい2人。
御幸くんに隠れて、完全に視界に入ってなかったらしくごめんなーって謝られた。
「なになに?一也の彼女?」
「そう。彼女。舞ちゃんていうの。」
「かなりかわいい子じゃん!やるな、お前。」
「同い年?よろしくな。」
「同い年です。こちらこそ、よろしく。」
3人が話してる所に人が集まってくる。
さすが地元!
中には女の子もいて、御幸くんとかなり親しいんだと思える。
御幸くんの腕に自分の腕を絡めたりして…。
私、やな子だなぁ…。