第40章 ※ 御幸の気持ち ➅
「あの親父を手懐けるなんてさすがだな。
あっという間に気に入っちゃって。メロメロじゃん。」
「そうかな?お父さんすごく素敵な人だし、従業員の人たちもいい人ばかりで、御幸くんが可愛がられたっていうのがすごくよくわかった。」
母さんはいないけど、寂しいって思ったことないのはシゲさんたちのおかげ。
相談にものってくれたっけ。
「まぁ、これは完全に舞ちゃんに気に入られたくて持ってきたんだろうぜ。」
貢物たちを指差して笑った。
「あのさ、お願いがあるんだけど…」
「んー?」
「お母さんにも挨拶していい?」
仏壇に手を合わせてくれる。
その作法は手慣れていて無駄な動きがなく、綺麗だとさえ思える。
念入りに手を合わせて、母さんと会話しているみたいだった。
俺が使っていた部屋に招き入れて、卒アルが見たいという舞ちゃんのリクエストに答えた。
まずは小学校のやつ。
「ちっちゃい!可愛い!」
「身長、中学の2年のときいきなり伸びたからなぁ」
写真も引っ張り出して来て、俺自身も懐かしくなって眺めてた。
「今度舞ちゃんの昔の写真も見せてよ」
「わかった。やー、でも恥ずかしいな。」
俺の今見たでしょ?と言うとそうだよねぇと頭を抱えた。
「絶対可愛いと思う。」
「そんなことないよ」
可愛いってと言うと恥ずかしがって顔を隠してしまった。
その手の下は絶対赤くなってる。
照れて赤くなってる舞ちゃんは俺の大好物。
その手を引き剥がし、舞ちゃんの顔をのぞき込んだ。
やっぱり。
耳まで真っ赤にしてた。
「御幸くんが可愛い可愛い言うから…」
「だって可愛いし…」
抱きつかれたと思ったら俺の胸におでこをぐりぐりと押し付けてくる。
柔らかな細い髪を撫でているとジーッと見つめられていた。
その表情が誘われているように感じたのは俺の勝手な思い込みだろう。
彼女の唇の柔らかさに夢中になった。
一生懸命応えてくれるのがうれしい。
次俺が何をするのかわかってるのか、だんだん身体に力が入ってくる。
服の中に手をやると、ピクンて小さく反応した。
「こわい?」
「だ、いじょうぶ…」
目をギュッて閉じたから…絶対こわいだろう…
少しでもこわさが和らぐように、たくさんキスを落とした。