第4章 一年生 ④
次の休み時間、なんだかんだで呼び出された場所に行ったみたいだけど、帰ってきたあの子にものすごく睨まれた。
御幸くんもつーーーんてしてるし。
部活に行こうとした私に、さっきのあの子に再び呼ばれた。
「ちょっと来て。」
「え?え?」
「御幸くんと付き合ってないって言ったよね?!」
「うん。」
「じゃぁ、なんで、舞ちゃんに伝言頼んだこと怒られるの?
気持ちも伝えさせてくれなかった…」
「あの…ごめんね。わかんない。」
本当にわかんない。
泣きだしてしまった。
オロオロしてると、彼女と仲のいい子達が迎えに来た。
「鈍感て人を傷つける時があるから、気をつけたほうがいいよ」
倉持くんにも言われた。
"鈍感女"
御幸くんが怒った理由がわかんないから、彼女の事、傷つけたの?
「マネージャー?!大丈夫か?」
「え?なに?」
「さっきから、何度も呼んでるのに。ボーッとしてさ。
風邪か?」
「ううん、ごめんね。何か用事?」
「部長がこれ、買い出し行ってきてほしいって。」
「わかった!行ってくるね。」
だめだ。練習中にボーッとしてると迷惑かけちゃう。
買い出しから戻ると、日は暮れていて、もう真っ暗。
買ってきた新球を倉庫にしまう。
棚の上に置いてあるボールの予備を降ろしてきて、今日買ってきたのを上に上げる。
あとちょっとで届きそうなのに、届かない。
うんと背伸びをして、指先でちょっとずっとこっちへ移動させてきた。
「あと少し…」
「あ、いたいた…スコアブック持ってる?ってなにしてんの?」
「うぇ、御幸くん
今…ちょっと…あっ…」
ヤバ…手がすべって新球が入ってる箱が落ちてくる。
無精していっぺんに下ろすんじゃなかった…
ボールを頭からかぶることを覚悟して目を閉じた。
結構大きな音がしたけど、痛くない。
代わりに御幸くんの声がした。
「いってぇ…」
「み、御幸くん大丈夫?!」
「あー、平気平気。舞ちゃんは?」
「大丈夫…」
御幸くんが庇ってくれた。
あんなにつーーーんてしてたのに。
抱きしめるみたいに、覆い被さってくれて、本当に申し訳ない。
「ごめんね、本当にごめん。」
「怪我してねぇなら、それでいい。」