• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第4章 一年生 ④


「期末テストの存在を忘れていた…」

「追試ある人は、一教科につきグラウンド10周って、結城先輩がおっしゃっておりました。」

「げぇ…殺す気かよ…」

げんなりとした表情で教科書に向かいあうのは倉持くん。

私のノートを必死に移していた。



「ここ、テストに出るってさ」

「ここ?!よっしゃ、わかった!」

あれだけ野球に必死になれるんだもん、やる気を出したら追試は免れるはず

「頑張れ!」

「矢代は余裕なのな。俺らに付き合って遅くまで残ってんのに、いつ勉強してんの?」

「授業をしっかり聞いてれば、大丈夫だよ」

家ではそんなに教科書開いてないのは、事実。
とびきりいいわけでも、悪いわけでもない。
至って普通の成績だし。


「舞ちゃんは、容量がいいんだよ。」

「まぁなぁ…あれだけ大人数の洗濯したり、仕事あるのに、あっという間に片付けていくもんな」

「褒められたらこそばゆい。
ほら、早くノート移して」


なんかドサクサに紛れて、御幸くんまでノート移してるし。

昼休みも終わりに差し掛かる頃、クラスの女の子に呼ばれた。


「舞ちゃんさ、ほんとに御幸くんと付き合ってないの?」

「付き合ってないよ。選手とマネージャー、それだけだよ。」

「良かった…」

心底ホッとしたような顔。

あー、この子御幸くんの事好きなんだ。


「次の休み時間、ここに来て欲しいって御幸くんに伝えてくれる?」

「わかった…。」


御幸くんに伝えに行くと、一瞬にして不機嫌になった。

「なんで舞ちゃん使うの?
舞ちゃんも断ればいいのに。」

「そんなこと言われても…。行ってあげてね。」

「知らねぇー」

「ちょっと、ちょっと」

プイッと窓の方を向いてしまった。



「おいおい、それって告白だろ?お前、いいのか?」

「なにが?」

「鈍感女…」

「失礼な…」

「後悔したって遅いんだぞ」

「だから、なにが?」


「お前らうるせぇ」

倉持くんとの言い合いに、御幸くんがピシャリ。


「倉持くんのせいで怒られちゃったじゃない」

「俺じゃねぇ、お前だお前」

人を指差しちゃいけませんよ…
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp