第38章 御幸の気持ち ④
過保護だなぁと呆れられたけど、用心するにこしたことはない。
「わかった。ついたらメッセージ送るから、お願いしていい?」
「駅につく前に連絡しろ。そうだな、買い物終わったら必ず連絡。」
なるべく一人になる時間は少ないほうがいい。
わかったわかったと笑顔でいってきますって言ったのに、
連絡が来たのは舞ちゃんからじゃなかった。
「梅本、どうした?」
「舞が…」
取り乱して慌てた様子で俺に電話をかけてきた。
何かあったのか?と声を荒げた俺にそこにいたみんなが一斉に振り返った。
「階段から落ちて、ちょっと怪我してる。
御幸、今から来れる?」
すぐに行くと電話を切り、聞いた場所へと急いだ。
ショッピングモールの医務室。
走り込むと擦り傷と捻挫と思われる包帯が巻かれた足首。
「大丈夫?」
「ごめんね、来てくれたんだ。」
診察用のベットに座っている舞ちゃんの前に座り込んで
下から彼女の顔を見上げた。
おでこも擦りむいてる。
上から落ちたのではなくてよかった。もし上から下まで転げ落ちてたらもっと大きな怪我だったかもしれない。
夏川と梅本にちょっと…と手招きをされる。
1年マネージャーに舞ちゃんを頼んで医務室から出た。
「本人は足が滑ったって言ってるんだけど、私達はそうは見えなかったんだ。
エレベーターも混んでたし、舞の見たいフロアは1つ下だっから先に行ってるねって階段で移動したの。
舞が、人とすれ違った時背中押されたように見えた…。」
「一緒にいたのに…舞に怪我させちゃった…。
年は近いと思うんだけど私服だったから高校生かどうかもわかんない。」
ふたりはかなり落ち込んでた。
「夏川と梅本が巻き込まれなくて良かったよ。
連絡くれてありがとう。連れて帰るけど、お前らも気をつけて帰れよ。」
医務室の人からは病院に行って念の為レントゲンを取ったほうがいいと言われた。
「ほら、早く乗れ。」
「おんぶなんて恥ずかしいよ。歩けるから…」
「つべこべ言うな。」
誰が連絡したのか大田部長が車で迎えに来てくれていたから駐車場までの辛抱だ。