第38章 御幸の気持ち ④
部長がかなり詰め寄っても、舞ちゃんの答えは足を滑らせた、自分の不注意だったと言い切った。
幸い骨折はなく捻挫。
靭帯を痛めているから松葉杖必須。
「これから合宿なのに、マネージャー、一人かけるのは厳しいよな。」
「すみません。座ってやれる仕事どんどん回してください。ボール磨きならできますし」
合宿中はマネージャー達も寮に泊まるからグラウンドの行き来は問題ないがこの足で合宿にも参加するという舞ちゃんを正直止めたい。
まぁでも、言い出したら聞かないのは部長も周知の事実。
風邪ひくなよと、舞ちゃんの肩をポンて叩いた。
女子寮に送り届けてもらって、管理人さんに頼んで中に入れてもらった。
舞ちゃんをおぶって彼女の部屋の前についたとき隣から仲のいい友達が出てきた。
「唯ちゃんたちから連絡来て心配してたんだ
大丈夫?」
「ごめんね。心配かけて。大丈夫。」
「御幸くんも心配だろうけど、後は私に任せて。
ちゃんとこの子の様子見ておくし、今日はここに泊まるからさ」
「悪い。頼む。」
友達に二人きりにして欲しいと頼んだ。
ベットにおろして彼女の前にしゃがみこむ。
「痛いよな…。明日は朝練休んでいいから。
無理すんなよ。」
「ごめんね。迷惑かけて。」
「謝るなって。俺に隠してることねぇよな?」
膝の上に置かれた舞ちゃんの手を握りながらそう言った。
「ないよ。」
そう言われればもう信じるしかない。
おでこにできた擦り傷に絆創膏を張って、彼女の頭をワシャワシャと撫でた。
外で待っていた友達に礼をいい、撫でた時に少し体温が高いと思ったから、夜熱が出るかもしれないから、気をつけてやってほしいと頭を下げる。
「わかったよ。大丈夫だから任して。舞はこんなに愛されてて幸せだなぁ」
「うるせー」
寮に帰るとみんなが心配してた。
「御幸先輩、舞姉さん平気なんすか?」
さっきいなかった沢村まで知ってんのか…。
「捻挫だって。
しばらく練習も来れないと思うから、マネージャー達に何でもかんでも頼むんじゃなく、できる事は自分でするように頼む。」
舞ちゃんに頼りきってたのは俺なのにどの口が言うのか。
ほんと情けない。