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ダイヤのA 御幸一也

第37章 御幸の気持ち ③


責めたくせに、よく言うよ。

「舞ちゃんに、寄っかかってばっかりだとダメなんじゃねぇかなって思う。カッコつけたいのに、つかねぇし。
つうか、礼ちゃんにはいるの?なんでも本心さらけ出せる人。」

ハッ…やば…いないんだ…
黙ってギロって睨まれた。

「なんかごめん…
たから、ごめんて…」


俺は3週間。
クリス先輩は一人で1年間も耐えてきてた。

敵わねぇはずだ…。

舞ちゃんに支えられて寄っかかってる俺と今もリハビリを続けてるクリス先輩とじゃ最初から争えてなかった。




「おい、キャプテン」

俺のことか?と指差した。

「てめぇ以外に誰がいんだよ、寝ぼけてんのか?!」

倉持のいつもの定位置に腰掛けた。

「最近、クリス先輩のとこに入り浸ってるそうじゃねぇか。
もう少し代理しといてやるから完璧な状態でグラウンドに戻ってこい。
てめぇが居ねぇと物足りないしよ。」


ほぉー、倉持がこんなこと言うなんてな。

「キャプテンの苦労が身にしみたろ?」

「うっせぇよ、
矢代が…寂しがってんだろ…
あいつはそんな所、お前には見せないと思うがな。」

わかってる。
野球の事を第一人に考えてくれる子だから、寂しいなんて一言も言わない。
オレが戻ってくる前に、一人で帰ってるみたいだ。
彼女なりに気を使っての事。
俺が送っていくって引かねぇから。

少しでも休ませてくれようとしてるってちゃんとわかってる。
だから、俺も寂しいなんて言わない。


舞ちゃんの作ってきてくれる弁当を一緒に食べる。
これだけは譲れねぇ。
もうしばらくグラウンドには顔出せないけど我慢だ。

「御幸くんの作ったのも食べてみたいな。
なんだっけ?降谷くんがよくつぶやいてるやつ。」

「あー、ちゃんちゃん焼?」

「そうそれ!作ったことあるんでしょ?みんなでやったら楽しそうだし、合宿のときにでもやりたいよね。
寮母さんにでも頼んでみようかな。」

「年末年始の休み時作ろうか?
うちくる?」

「いいの?でも、お父さんいるんじゃ…」

「忙しくしてる人だから、工場にいるだろうし、ちゃんと紹介しておいたいし。おいでよ。」

「わぁ…なんか緊張してきた…」

「はえーな。」

その前に地獄の冬合宿が待ってるが楽しみな予定があれば頑張れそうだし。

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