第36章 何か変わった?
「別にモテなくてもいいんだよ。
好きな子に好きって言われたらそれでいいじゃん。」
チラリと私に視線を送ったのをみんなは見逃さなかった。
「は?なに?」
「お前らとうとう?」
「付き合ったの?」
「えーと…」
「ご想像にお任せします。」
それって付き合ってますって言ってるようなもんじゃない?
「くそぅ…とうとう御幸に落ちたのか。
舞が御幸の好きなようにされると思うと…なんかムカつく。」
幸ちゃんがギュッっと私を抱きしめてきた。
「御幸に泣かされたら相談してね。
私たちみんな舞の味方だから。」
なんかひどい言われようだな…。
「はは…、女子の結束力を舐めてたら痛い目見そうだね、御幸。」
「泣かすかよ。
大事にするに決まってるだろ。泣かしたら奪うって宣言されてるしよ。」
「誰に?」
「内緒。」
急に降谷くんみたいにつーーーんてした。
マネージャーのみんなから、よかったねって言ってもらえて、くすぐったいな。
神宮大会2戦目で敗退して、今季の公式戦は終了した。
監督も残ってくれたし、冬練は例年通り厳しいものになりそう。
「今は非炎症期。
身体は動かしていいけど、違和感があるうちは無理は禁物」
工藤くんにそう言われて、軽めのウエイトをやっていた。
オフに入って初めての週末。
練習は午前中で終わった。
マネージャー室をノックされて振り返ると御幸くんがニコニコしてそこにいた。
「デートしませんか?」
「デート?」
「昼から休みになったし、自主練もできねぇし。寮にいてもしょうがないから、俺とデートしてください。」
改まって言われると照れくささがある。
急いで寮に帰って準備をした。
デートってどんな格好したらいいの?
寮にいる同級生にヘルプを頼んだ。
「舞ちゃん、スカートとかは持ってないの?」
「ここには持ってきてない…」
「今度休みになったら買い物行こうね。」
私のクローゼットを見た友人は軽くため息をついた。友人のデート服を借りて、髪もセットしてもらう。
軽くメイクしたほうがいいと言われ、私よりもノリノリになってきた友人にメイクまでしてもらった。