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ダイヤのA 御幸一也

第35章 決勝 薬師戦


「向いて、ねぇんだよ…
だから、俺…キャプテン失格なんだって」

御幸くん…

「つうか、お前らもキャプテンの辛さ味わえよ…
譲るからまじで…きついぞ…」

御幸くんの本音。

ゾノくんが死ぬんかと慌てている。
それくらい御幸くんは弱いところなんて、みんなに見せてなかった。

乗り込んだ4人を見送る。

「舞ちゃん来てくんねぇの?」

「みんな一緒だから大丈夫でしょ?
5人はタクシー乗れないし、学校で待ってる。」

お前は子供かっ!ってゾノくんに怒られていた御幸くんを見送った。


みんなに合流しようと振り返ると薬師の選手と鉢合わせる。

頭を下げると俊平に呼び止められた。


「完敗…。選手としてもチームの柱としても男としても完敗。
故障してたの、最後の最後まで気づかなかったよ。」

「俊平…。」

「あいつに泣かされたら、いつでも言えよ。好きなんだろ?舞の顔見たらすぐわかった。
これからも友達としてよろしく。」

「こちらこそ。」


みんなの所に戻ると監督が男泣きをしていた。
3年生中心に胴上げされる。

学校に帰ったら祝賀会の準備だ。
御幸くん、倉持くん、ゾノくん、高島先生の分も取り分けておいた。

「まだ戻ってこないの?御幸たち。もう御開になっちゃうよ?」

そうこうしているうちに、祝賀会は御開となった。


遅いよね…待ってる方は余計時間がたつのが遅く感じる。
タクシーで帰ってくるならここに停まるはず。

その場所が見えるベンチで帰ってくるのを待っていた。

「寒くねぇの?」
「白洲くん、大丈夫だよ。」

まぁ、これ差し入れとあったかい飲み物を暮れた。

「昨日の夜さ、倉持から聞かされてたんだ。もしかしたらどこか痛めてるかもしれないって。
御幸の存在の大きさを、改めて気づいたんだ。
御幸ならやってくれる、打ってくれるって、どこかで思ってた。
誰にも真似できねぇよな、ほんとすごいやつだよ。」

「私もそう思う。でも、それ本人に言ってあげて。喜ぶと思うよ。」

「本人に言うの恥ずかしいから矢代に言ってるんだろ。」

風邪引くなよと白洲くんはバットを持って、室内練習場の方へ向かった。
今日くらいしなくても誰も何も言わないと思うけどな。

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