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ダイヤのA 御幸一也

第31章 王谷戦


昨日試合だったのに、ミーティングの後で自主練に行くみんな。
試合の疲れもあるはずなのに。


ウエイト室も室内練習場も煌々と明かりがついている。

今日、1番遅くまで練習していたのはノリくん。
封印していたシンカーを解禁すると御幸くんを誘いに来た。


夜食のおにぎりを配り終わって、2人にも持っていこうと室内練習場を覗く。

声かけられないほど真剣だった。


「ノリ、今のいいぞ。」

「じゃ、あと10球。」

投げ終わってストレッチがすんだらすぐにアイシングができるように、食堂に氷を取りに行く。

戻ってくると、最後のストレッチをしていた。

「お疲れさま。」
アイシングを手渡すとさっきまで強ばっていた顔がなんかスッキリしていた。

「いいシンカー投げられたんだ」
「打者に試してみないと、なんとも言ねぇけど。ボールは悪くない」
「良かったね。」
「2年の俺があいつらに置いていかれるわけにはいかねぇよ」

あの2人の成長すごいもんね。

「氷もおにぎりもサンキューな。部屋帰って食べるよ。おつかれー」

かなり投げ込んだんだな。ノリくんはヘロヘロになってた。

「じゃ、行こうか舞ちゃん。」

着替えもせずに、先に私を送ってくと言う御幸くん。

「あのさ、前から言おうと思ってたんだけど…
もういいよ?もう大丈夫だからさ。連戦で疲れてるでしょ?」

汗かいてるのに着替えせずに、冷えた風に吹かれたら御幸くんが風引いちゃう。

「俺がやりたくてやってんの!つべこべ言わず、行くぞ。」

「じゃぁ、せめて着替えてきて。
ここの片付けちゃんとしとくから。その間に、ね?」

「勝手に帰んじゃねーよ?」

10月になると夜は結構冷え込む。
制服の上にもう一枚必要かも…と思っていたら御幸くんが上着を貸してくれた。

「エスパー?」
「寒そうだったから。特に足!女の子は大変だな」

上着から御幸くんの匂いがする。
とても落ち着く…。
高校に入ってからずっとこの匂いと一緒だったなぁとちょっと変態チックな事を思ってしまう。

「夜の道ってこんなに綺麗だったんだね。」
「どした急に。」
「東京でこんなに星が出てるなんて今まで気づかなかった。ずっと下向いて歩いてたから…でも御幸くんが隣にいると視線が上に向くから星空も目に入るようになったの。
気づけたの御幸くんのおかげだよ。」
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