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ダイヤのA 御幸一也

第31章 王谷戦


どこかで鳴いてる虫の声も、今までは聞こえてなかった。
遠くで鳴ってる踏切の音、金木犀の香りとか。
気づかされる事がたくさんあった。

余裕がなかったからって思い知らされた。

「御幸くんのおかげ。きっともう一人でも怖くない。」

「それでも俺はこの役を降りるつもりねぇからな。
舞ちゃんと並んで歩くの実はすげぇ楽しんでんだ。」

この時間毎日いろんなことを話す。
練習内容のことだったり、明日の授業のことだったり。
私もこの時間はすごく楽しい。

御幸くんが嫌じゃないって思ってくれてるなら良かった。




「サッカーするぞー」

倉持くんの声掛けでグラウンドに体操服に着替えて集合。

唯ちゃんと幸ちゃんとで見学。
後で混ぜてもらう予定だ。

倉持くん白洲くんは運動神経の良さを発揮するけど、御幸くんとゾノくん…
沢村くんによると「ど下手」


「御幸くんがあそこまでサッカー下手なんて思わなかったー」
「球技は野球以外できねぇの。」

男女で体育は別だったから知らなかったよ。

「いつまで笑ってんの?」
コノヤロと擽られる。
ガッツリホールドされてるから逃げれなくてすぐにギブギブと御幸くんの腕を叩く。

修学旅行に行かなかった生徒は1つの教室に集められて自習。
真面目に勉強してる人はまぁいない。課題のプリントを早々に終わらせて沢村くんも読んだというマンガを読んでいた。
これはハマりそう…。

お昼休み、幸ちゃんたちはカレシ達と一緒に食べるとそそくさと教室を出ていった。

1人かー、御幸くんたちは学食に行くだろうし。
しょうがないかとお弁当箱を開けた。

「うぉ、うまそう。卵焼きちょうだい」
「御幸くん、学食行ったんじゃないの?」
「今日は、これ。」

購買のパンが数個机の上に置かれた。

「ひとりで食うの美味くないよな。」
「御幸くん…ありがとう。」

お弁当に入ってる卵焼きを2つともあげた。
「俺も甘い卵焼きが好き。
つうか、弁当いつ作ってんの?」

「朝だよ。女子寮にはちっちゃいキッチン部屋にあるから簡単なものなら作れる。ご飯は朝の残りをいただいて。そうしてる子結構いるよ?」

「時間に余裕があったら俺にも作って。」

人様に食べさせるお弁当ではないけど…。それでも作って欲しいとお願いされた。
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