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ダイヤのA 御幸一也

第3章 一年生 ③


「俺?
まじか…その子に話しかけたことある?」

「なんで?」

「同い年くらいの女の子に、キャッチャーかっこいいねって言われたこと今の話で思い出してさ。」

「言ったかも…。メガネかけてたかな…ちびっ子なのに、誰よりも大きく見えた。」

「野球始めた頃からメガネかけてたよ、俺。」

「あのちびっ子が御幸くん?!」

「たぶん。」

「ははっ、兄妹揃って御幸くんにぞっこんだったか…そっか。」

「あの子が舞ちゃん…?まじ?」

あの時はほんとに小さい男の子だったのに、なんなら私の方が大きかった。



御幸くんの隣に立って、自分と身長を比べてみた。

「179cm」

「くそぅ…20cm以上も差があるの悔しい!ちょっと分けて!」

「無理言うなよな。いいじゃん、小さいほうが女の子って感じで可愛いよ」

なんか余計にムカつく。
あの小さかった頃のキラキラしてて可愛い御幸くんはどこ行ったの?

季節はもうすぐ、冬。
動いてなきゃ凍えそう。
もう一枚着込もうかな。


「なぁ、御幸の誕生日なにかするのか?」

「そっか、誕生日!倉持くんは?」

「俺がなんで御幸にプレゼントあげなきゃなんねぇんだよ。」

「クラスメイト、チームメイト、唯一のお友達、じゃないの?」

「ばーーーか!蹴っていいか?」

「痛いのやだよ。」

私の誕生日には、プレゼントくれたもんなぁ…。

お返ししなきゃ…何がいいのかな…。

御幸くんの好きなこと………。


野球しか思い浮かばない……。
知ってるようで、知らないなぁ…。

本人に直接聞く?
それじゃおもしろみがないよなぁ…。

うーん。
どうしよう。





「舞ちゃん、絆創膏とこだっけ?」

「え、どしたの?怪我でもした?」

「いや、今朝マグカップ割って指切った。
忘れてて、さっきバット振ったら開いた」

こらこら、気をつけてよね。
左の人差し指に絆創膏を巻く。

「ありがと。」

「うん。気をつけてね」

「あ、あれやんないの?」

「あれ?」

「兄貴が言ってたぞ
うちの妹、怪我したら絆創膏の上からチュウするんだって。早く治りますようにっておまじないかけてくれるってさ」

ばか兄貴!!
何年前の話してんのよ!

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