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ダイヤのA 御幸一也

第28章 帝東戦


「今更恥ずかしくなったとか?」

飄々とブラック御幸が出てきたのか、悪い顔をしているんだろうなと思う。

トクントクンと言っていた御幸くんの鼓動が速くなってきてる気がするのは気のせい?

「御幸ー、いるかー?」

倉持くんの声…
「はいはい、いるよー」
ソッと離れていく体温。

御幸くんと倉持くんが話している間に、火照ってしょうがない顔をなんとか収めた。

「矢代、まだいたのか?お前も来る?」
「ん?」
「ゲーム大会すんの。」
「私は…今日は帰ろうかな。」

いい加減お風呂に入りたいし…まだドキドキいってる心臓を沈めたい。

「じゃ、沢村と金丸に送ってもらえ。あいつらに夜食の買い出し頼んだし。」

「俺が行く。」

「お前は駄目ー。この前の対戦の続きすんぞ!勝ち逃げは許さん。」

ほどほどにね、と2人に言って1年生2人と学校を出た。




朝練でも、教室でも、御幸くんはいつも通り。
私は…なんか、まともに御幸くんの顔を見れないでいた。


御幸くんと倉持くんの雑談に私も混ざっていたけど、話が全く入ってこない。

「舞も修学旅行の班、御幸くん達と一緒にしてあるから。」

「え?」

「聞いてなかったの?修学旅行!
まぁ、そっちの大会と被るかもしれないんでしょ?」

「行かないよ、俺達。」

負けるつもりないからとクラスメイトに話している時、ナベちゃん達がいることにやっと気づいた。

「ナベちゃん、どしたの?」

「御幸に話し合ったんだけど、取り込み中みたいだから、やっぱりいいよ。」

御幸くんもどうした?って聞いていたけど、答えは同じだった。


「矢代は良かったのか?修学旅行行ってきてもいいって監督も言ってんだろ?」

「みんな置いて、マネージャー3人で楽しめるわけないでしょ?大会中なのに、春乃ちゃん一人になったら、大変だよ?」

「そりゃ…そうだけどよ。修学旅行だせ?」

「私の青春は野球部に捧げたの」

なんだそりゃとヒャハハと笑い飛ばされた。

ナベちゃんたち…表情…暗かったけど大丈夫かな?


練習中もそうだった。
3人一緒にいて、そこだけ空気が違ってた。

「ボールケース回収してくね」
「矢代、重いだろ?ピッチャーの所に運ぶなら俺が。
それに、打球当たったら大変だぞ。」
「大丈夫大丈夫。ありがとう。」

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