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ダイヤのA 御幸一也

第27章 秋季大会直前


電車の中でも、駅についてからも、俊平はズッと手を握っててくれて、パニックにならないようにしてくれてた。


「もう着いちまった…。もうちょい話したかったんだが、時間平気?」

「あ、うん。夕食取っててくれてるってさっきメールあったし。」

「そ。あのさ、お前、御幸とは付き合ってないんだろ?」

御幸くん?俊平まで私と御幸くんが付き合ってるって思ってたの?

「付き合ってねぇんだったら、俺と付き合おうよ。」

「え"…」

「何その返事。今すぐにとは言わねぇけどさ。舞が俺のこと男として見てないの知ってるし、だからさ、まずは俺のこと異性としてちゃんと意識して?」

「えーーーと、あの…」

「そんな困った顔しないでくれよ。困らせたいわけじゃねぇし。ただ中学の同級生ってだけで終わりたくなかっただけだから。」

びっくりした…。俊平がそんなこと思ってるなんて今初めて知った。
行くぞと、歩き始めた俊平の背中を小走りで追いかける。

置いていかれると思ったら急に怖くなって、俊平の制服の裾を掴んであるく。

学校の門の所まで、送ってくれた所に御幸くんが私の名前を大声で呼んだ。


「帰り遅いから心配してたんだ。
って、なんで真田と一緒?!」

「その様子だと…こいつが抱えてるトラウマ知らねぇんだな」

「俊平!言わないでいい」

私の言葉を遮るように御幸くんが何だそれ、詳しく聞かせろと強く言った。

「知っててもらった方がいいと思うけど。」

そう言って俊平は話し始めた。

中学の時、不審者に学校の帰り道に追い掛け回されて怖い思いをした事。
当時だれにも言えなくて偶然俊平と兄貴が通りかかって、通報してくれた事。
それから暗い夜道が駄目になった。一人で歩けなくなった。
実家から寮に入ったのもこのことが少し関係してる。

部員がコンビニのついでに送ってくれるのがなければ、学校から寮に帰るのも走って帰っていた。
自転車なら平気なんだけど、この近い距離を自転車使ってたらおかしいって思われるから。

「だから、一人で遠くに偵察行かせるとか、ちょっと勘弁してやって欲しい。」

頼むって御幸くんに頭を下げた俊平。
御幸くんは悪くないよ…。黙っていたんだもん。
これくらいしかチームに貢献できないし…。
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