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ダイヤのA 御幸一也

第27章 秋季大会直前


「初戦の相手帝東って…」

くじ運にもムラがあることが発覚して倉持くんに怒鳴られていた。

「燃えんだろ」とあっけらかんと言う御幸くんは倉持くんの怒りに油を注ぐ。



「薬師のキャプテンて真田か?」
「知らない。なんで?」
「抽選に来てたの真田だったから。あれだけメールしてんのに知らないのかよ」
「そう言われましても…」
来ても私のことばかり聞いてきて自分のこと話してくれなくなったもんなぁ。

元気かー?風邪引いてないかー?ってそればっかり。

俊平は?って聞き返しても、返ってくるメールには、ぼちぼちの4文字。

マウンドに立っただけであれだけチームが上がるんだもん、俊平はキャプテン向きだと思う。

薬師と当たるのはまだ先だけど、どんなチームに仕上がってるのか楽しみだ。

「舞ちゃん、偵察頼めるか?」

「了解、キャプテン!行ってくる!」

気をつけていけよとみんなに見送られた。

帝東のエース向井を打ち崩すのはなかなか厄介だなぁとキレのいい変化球を見ながら思う。守備も堅い。さすが優勝候補って言われてるだけであるよね。

一通り偵察し終えて、電車に乗る。
東東京のブロックだから結構遠い。

乗り換えの駅で声をかけられた。

「舞、なにやってんの?こんな所で…あぁ…偵察?」

「うん。そう…帝東まで行ってきた。」

薬師の練習はもう終わったみたいで、俊平は制服姿だった。

「舞に会えるなんてラッキー!
でもさ、もうこんな時間だぞ、大丈夫か?送ってくぜ」

学校から駅まで歩いてきたんだったことを思い出す。
学校の最寄りにつく頃には真っ暗になってるか…。
ドクンと鼓動が鳴って、嫌な汗が流れる。

「だ、大丈夫…!向こうの駅についたら誰かに迎え頼むよ。」

「じゃぁ、今ここで部員の誰かに電話して。何時何分の電車に乗るから迎えに来てって今ここで頼め。」

ごまかしたって無駄だと鼻をつままれた。

「部員の事何より大事に思ってるお前が、あいつらの練習時間削って迎えなんて頼むわけねぇんだよ、ばーか」

う…図星…。

「このまま一人で返して、また再発したら俺があいつに怒られちまうだろ?」

二カッと笑った俊平は私の手を取って歩き出した。

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