第26章 ブロック予選スタート
1年生がグラウンドに来て、全員正座させられた。
私もつられて正座すると、先輩達に笑われてしまう。
「マネージャーはいいよ、そんなことしなくても」
「や、なんか条件反射で…お恥ずかしい…」
楠木先輩と亮介先輩にクスクス笑われて、ハハハ…と苦笑いするしかなかった。
週末に引退試合が組まれた。
貴子先輩もグラウンドに来てくれた。
「チームの指揮はお前が取れ」と監督に言われて戸惑う御幸くん。
「ふふふっ」
「えらい楽しそうだな」
「御幸くんの采配が楽しみで」
「まぁ、しかし…これって先輩達が監督に頼んだってことだよな。
どれだけ頼りないと思われてんだよ、俺達」
「そうかな?違う意味もあるんじゃない?わかんないけど…」
「まぁ、先輩たちと試合ができるのは楽しみだけどな」
「私もすごく楽しみ」
試合が始まってすぐに3年生たちの洗礼を受ける。
亮介先輩と楠木先輩の二遊間は思わず拍手してしまった。
「こらこら、どっちの応援してんだ」
御幸くんに頬をつままれた。
「いいプレーだから、イキイキしててほんとすごいなぁ」
キャッチー道具をつけてる御幸くんは苦笑いをしていた。
攻撃のお手本のような打線。
みんなも凄く刺激を受けているように感じた。
御幸くんもノーアウトからヒットで出塁。
ヤジの"まさか"発言にピクッて反応した。
倉持くんが神妙な面持ちでベンチに座っていた。
「監督が秋大まで…って…」
告げられたのは、監督の辞任。
あー、そうかやっぱり…この時期にコーチが来るなんてなんかおかしいとおもった。
だから、この時期に引退試合…。
すべて線で繋がった…。
こっちの攻撃が終わって御幸くんにみんな詰め寄る。
「お前は知ってたのか?」
「あっさり受け入れやがって」
「OBでもないコーチが来たときから、そうなるかもって勝手に思ってただけだ。なぁ舞ちゃん?」
「あ、うん…でも、その話は全然御幸くんともしたことないよ。私もちょっとおかしいなって思ってただけ。」
とにかく話はあととなり、守備についた。
御幸くんらしい指示の仕方。
そして、御幸くんから出た選抜という言葉。
「俺達が秋大で優勝したら、選抜確定だせ。選抜を確定させた俺達を置いてチームは去れないだろ?」
その言葉に奮い立ったかのように、倉持くん御幸くんで1点返した。
