第26章 ブロック予選スタート
1.2年生も先輩達のプレーに感化されていい動きができるようになってきた。
声も出てきたし、このワクワクする感じ久しぶりだ。
9回終わって同点。
試合に出てない先輩達も延長で出てきた。
監督の為…先輩への恩返し。うまく回りだした気がする。
「哲さんに、キャプテンが迷うなって言われちまった。
俺が迷うとチームが揺らぐって。」
試合が終わったあと、久しぶりに御幸くんが自主練に付き合ってって頼んできてくれた。
「哲さんらしいよね。哲さんも新チーム立ち上げた時は迷って悩んで藻掻いてたんじゃないかな?それを私達には見せないで、すごい人だよ。」
「だな。
道しるべになれって言葉、しびれたー」
「もう御幸くんはこのチームの道しるべになってる。御幸くんの選抜行くって言葉でチームの雰囲気ガラッて変わったし。やるね!」
照れてる?
頬を人差し指でポリポリとかいてる。
吹っ切れたのかな…御幸くんの表情がとても明るくなって、引き締まった感じがする。
「最後、選抜たちと何話したの?こっちまでは聞こえなくて…」
「ナイショ。」
「えー、ずるいよ…教えてよ。」
しょーがねぇなぁと話してくれた御幸くんは今日までとは別人みたいにキラキラ輝いてて眩しいくらいだった。
「覚悟は出来た。勝つための努力なんて他のチームもやってる。
それでもやっぱり行きたいって思うんだ。
甲子園…このチームで。」
「うん。うん。御幸くん…やろう。やりきろう。監督と一緒に甲子園行こう。」
「泣くなよ…。舞ちゃん、夏から泣き虫になった?」
御幸くんの言葉に感動して自然と涙が溢れた。
「もちろん、舞ちゃんたちマネージャーも一緒にだからな」
「ありがとう…。」
早朝は誰から声をかけるわけでもなく、ランニングしたりバットを振ったり。
夜も遅くまで自主練してる。
うまく回りだしたチーム。
秋の本戦はもうすぐそこだ。