第24章 御幸の気持ち ②
純さんにああ言われて、バットを振り込んだけど、バッティングに思い切りがない。
って、俺も人のことを言ってられないんだが…
舞ちゃんが計算してくれていた打率を見て軽くショックを受けた。
打率も得点圏打率も2割台とか…初めて見る数字だ、ちくしょう…
昼休憩の時に監督から聞かされたのは、新しいコーチが来るということ。
OBじゃない人がコーチ?
しかも、変な時期だよな…。
夏休みの練習試合の成績は8勝4敗。
1年に煽られて2年のケツにも火がついてる。
チームの雰囲気は決して悪くない。
なにか1つ、起爆剤のようなものがあれば…。
あ"ぁ"ーーー、くそ…
舞ちゃんに相談してぇ…
甘えさせてほしい。
キャプテンになる前から、人に弱い所を見せるのが苦手だった。
キャプテンになったら、余計にできなくなる。
でも、舞ちゃんには違った。
彼女は俺の駄目なところも全部受けとめてくれて、それで一緒に考えようって言ってくれる。
そうやって今まで支えてきてくれた。
もっと、俺が…しっかりしねぇと…
純さんにも言われただろ。
みんなが俺達を見てるって。
弱音なんか吐けるか…。
舞ちゃんに逃げてしまいそうになるとこうやって自分自身を奮い立たせた。
そんな中決まった、薬師との練習試合。
真田がいる。
結局、どうだったかとか聞けずじまい。
やってきて早々に真田から宣戦布告を受けた。
「負けねぇから…」
すれ違い様に俺にだけ聞こえるように言った真田。
なんのことかすぐにわかった。
舞ちゃんを捕まえてちょっかいかけている。
「俊平!やめてよ。今日は敵同士なんだから!」
舞ちゃんがそう言ってるのが唯一の救い。
薬師戦が決まってから打線がうまく繋がるようになった。
選手みんなのモチベーションも上がっていた。
自分たちの力を試すのには絶好の相手。
センター方向を意識していたのに、第1打席はファーストフライ。
よりによってファーストフライ…。
俺の方を見てニヤっと笑う真田。
ほぉー、今のは少々ムカッと来たぞ。