第24章 御幸の気持ち ②
薬師相手に好投する降谷。
轟も打ち取る。こいつのマウンドへの執着心はすげぇな。
後輩がチャンスを作る。
1年が結果を残している。
俺も負けてらんねぇよな。
バットの芯に当たる感触は最高に気持ちいい。
降谷のバットも快音を響かせ、バッテリーで点を取ることができた。
ピッチングでもランナー出しても低めにボールが集まっている。
譲らない、負けないって気持ちがボールからも伝わってきた。
6回からは真田が登板した。
絶好だった東条が打ち取られる。マウンドに上がると人間変わるんだよな、こいつ。
インコース主体の強気のピッチングか…おもしれぇ。
アウトを取るたびに、ベンチもグラウンドも盛り上がる。
これぞエースの存在感か…。
沢村がマウンドに上がる。
こいつの顔…少し気負いすぎてるかもしんねぇな。
舞ちゃんの言葉が、チラついた。
このことを言ってたのか?
轟に2ランを浴びて、調子を取り戻させるために、わざとおちゃらけた。
言い返して来る元気はある。
だが、インコースにボールが一度も来ない。
沢村…お前、まさか…。
どこかで見ているはずの舞ちゃんを探す。
周りはみんな驚いていたり、戸惑っていたりするのに、舞ちゃんだけは違った。驚いてない、どこか険しい表情。
やっぱり、このことだったのか…。
もっと真剣に舞ちゃんの言葉を聞くべきだった。
こんな風になる前に。
みんないるから…と声をかけても沢村には届いてない気がした。
1つもアウトを取れないままマウンドを降りた。