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ダイヤのA 御幸一也

第23章 御幸の気持ち


監督に呼ばれて、キャプテンに任命された。

こんな俺が、キャプテン?

哲さんみたいなキャプテンにはなれっこねぇよ。

余計に悩んでる暇なんてねぇじゃねぇか…
未だに整理できてないものだっている。
同じ方を向いてないと、纏まるものも纏まらなくなる。


俺は…舞ちゃんへの気持ちに蓋をする決心をした。
何度目だろうか…もう忘れたけど。
大丈夫、まだ引き返せる。まだ、大丈夫。


新キャプテンからの挨拶をと言われて、戸惑う。

向いてねぇよ、俺にキャプテンなんて。

「やるからには結果にこだわりたい。勝つことにはとことん貪欲でありたいと思います。」

紛れもない本当の気持ち。

甲子園の行きの切符を手にするまで…
必ず掴みとってみせるから、だから…
それまで誰のものにもならないで。


バカだなぁと自分でも思う。

彼女がいたって別にいいと思う。
モチベーションもあがるだろう。

新チーム結成のまだフワフワしたこの状態の時に、舞ちゃんのこともチームの事もいっぺんにやるなんて、俺には無理。
キャプテンを引き受けたからには優先順位はチームの事。

ゾノと倉持が茶化してくるし、やりづれぇ…

哲さん…あんたマジですげぇよ。
青道という伝統あるこのチームのキャプテン。
4番。


重てぇな…。


「御幸くん、大丈夫?」

練習後、ベンチで項垂れていたらそう声をかけてくれた舞ちゃんにときめいてしまった…

ダメじゃん…俺。
決意したんだろ?

「なにが?」

ザワザワする心を落ち着かせたい。
平静を装え。

「御幸くんにしかできないと思うんだけど、キャッチーでキャプテンて、大丈夫かなぁって。哲先輩みたいなキャプテンじゃなくていいと思う。
御幸くんは御幸くんの魅力あるし、御幸くんのやり方でチームを引っ張っていってほしいな…あ、ごめんね。偉そうに…」

そんなにキツそうに見えたんだ…やっぱ舞ちゃんには敵わねぇな…

「慣れないことして、ちょっと疲れただけだから。大丈夫だって」

心配してくれてありがとう。
舞ちゃんが気にかけてくれるだけで、心強いよ。
そう言って、頭を撫でたかった。

もう後戻りできねぇし…
いつもと様子の違う俺に戸惑ってる舞ちゃんを残して寮に戻った

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