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ダイヤのA 御幸一也

第20章 あと2つ


「あちゃー、その様子じゃ鳴と会っちゃった?」

「お察しの通り…」
握っていた拳に更に力が入る。
「うぉ、舞姉さんが静かに怒っておられる…一体全体どうしたんで?」

「鳴になんか言われた?」

御幸くんには、全部お見通しで、成宮鳴が言ったこと、一字一句間違ってなかった。

「俺が自分で選んだ道だから。後悔なんてしてねぇし、こっち来て正解だったって胸張って言えるぞ。もしかしたら、鳴のやつ、自分よりあいつとバッテリー組みたいんだって言ったこと根に持ってんのかもな。
厄介な投手2人もいるけどな。」

なにをー?!と沢村くんが騒いで、降谷くんはちょっぴり凹んでいた。

バスの事を思い出して、学校でねと手を振った。
別班が学校につく頃にはもう主力陣はバッティング練習をしている。

夜は全員でミーティング。
哲先輩の一言で一気に空気が変わった。
純先輩からの嬉しい一言もあって、貴子先輩は感激して涙ぐんでた。

「2年のマネージャーも感謝してるぞ、マジで!」
痛いくらいに頭をバシバシと叩かれる。
照れ隠しなのだろうか、顔が真っ赤だ。

ふと視線をずらすと、食堂から出ていく亮介先輩は足を引きずってるみたいに見えた。
倉持くんが固まってる…。倉持くんも気づいたんだ…。

「矢代、ちょっといいか。」
真剣な表情で呼び止められた。
腕を引かれて、誰も来ない場所へ。

「今の見たよな…亮さんの足。」

「うん…やっぱり…クロスプレーの時かな…。あれから、ちょっとおかしいなって思ってた。」

「亮さんがなんか言ってくるまで黙っててやってくれないか?」

「でも、本当に怪我してるなら早く処置したほうが…」

「頼む!俺が話してみるから!俺に任せてくれ。」

倉持くんの迫力に負けて、わかったと答えてしまう。
プレーに支障がなかったらいいんだけど。

あれだけ自分を追い込んでから、毎日毎日練習やってるんだもん、誰かしらどこか痛みを隠してやってる。
亮介先輩がなにも言わないのは、大丈夫なのかもしれない。
そう信じたい。

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