第2章 merry you
「は?」
「あ、かっちゃんお帰り」
帰宅した俺を出迎えたのは今日も間抜け面の凛。
それはいい。同棲してるんだから当たり前だ。問題はそこじゃない。
凛は一人じゃなかった。にこにこと、楽しそうな顔で相手と話しながらコーヒーを飲んでいる。そしてその相手は…
「じゃあそろそろ帰るけど、凛。また連絡する」
「うん。まあ、今度出る雑誌たくさん買うよ」
「ありがと、今度は断らんで、一緒に出よ」
「…考えとく」
お、おっまえなに…!ハァ!?凛おい!
ーーお前なに間男と仲良くしとんだクソがッッッ!!!
凛と仲よさげに話す男は、ウイングヒーローホークスだ。少し前までは二重スパイの件で世間から冷ややかな目で見られていたが、瞬く間にヒーローランキングに名を戻した。
凛は窓から飛んでいくホークスを見送ったかと思うと、鼻歌を歌いながらカップと菓子を片付けている。
「っおい凛」
「なに?」
「お前…何考えてんだ。ンで、あの男…」
「啓悟さん?なんでって…友達なの」
友達?ハァ?
ーー凛曰く、最初はあの男からコンタクトがあったらしい。
というか、直接来たそうだ、この家に。
男はノコノコ玄関口に出た凛に笑いかけ、こう言ったらしい。
『今までは単なる仕事仲間やっだけど、俺はそう思っとらんよ。凛ちゃんのこと好いとる。やけん』
友達になってくれると?と
勿論、俺はあの男のことをなんとも思っちゃいないが、凛はそうではなかったらしい。
「いいですよ、上がってって言ったの」
「アホかテメェ」
「でも、元上司だから無下にできないでしょ?それに、エンデヴァーの話で盛り上がって、楽しかった」
それから友人関係が続いていると?ふざけんなクソ。
「…もしかして勝手に家に入れたこと怒ってる?ごめんね彼女とはいえ勝手なことして。あ、セフレって言った方が良かった?そうだよね、彼女なんておこがましかったよね」
は?