第4章 Rouge begins
デクは胃と頭が痛むのを感じた。
無駄に広いこの部屋で待たされること約30分。
1番早く到着したデクに続きショートが部屋を訪れ、そして最後に爆心地が来た。
「テメェ何見てんだゴラ」
「いや、別に見てない」
「ふかしてんじゃねーぞ半分野郎!!!」
かっちゃんが轟君に突っかてるが止める気にもならない。それもそうだ、学生時代を終えたからと言って馬が合わない彼らが仲良くなるはずなんてない。
あぁ神様。僕が何をしたと言うのか。
確かにヒーロー活動だからと言って建物を壊してしまったこともあるが最近はそんな事も…なくはないけども。
けど、それでも、こんな大層な所に3人揃って呼ばれるなんてもう。
「悪夢だ…」
「デクテメェなんて言ったアアン!?」
顎を突き出し睨みつけてくるかっちゃん。
昔っからヴィラン顔だなんて言われてたけど更に磨きが掛かってるんじゃない?
「轟君」
「なんだ?」
「公安に呼び出されるなんて、何か心当たりある?」
「…ねえな」
「だよねー!」
もう泣きそうだ。
最近はプロヒーローとして認められることも増えて大きな仕事も任せてもらえるようになった。
次期平和の象徴なんて呼ばれるのはむず痒いけど嬉しさが勝る。
上手く、上手く行っていた矢先の呼び出しだ。
所属の所長にも「デク、無事を祈ってるよ」なんて言われる始末。
「終わった。僕のヒーロー人生ここまでだ」
「まだ始まったばかりじゃねえか」
違う、そうだけど違うんだよ轟君。
ここに呼び出されるってことは相当やばいこと何だよ。
そんなとこまで天然発揮しなくていいよ。
「あぁ、ごめんなさいオールマイト。出来れば貴方のような素晴らしいヒーローになりたかった」
「ぶつぶつとうっるせえわクソナード!!!気分悪いことばっか考えてんじゃねーぞ!!」
「そうだよ。終わらないから大丈夫」
かっちゃんが手から火花を散らすのと同時に、カチャリとドアが開く音がした。
どこかで聞いたことのあることだ。
第三者の声のする方を見た僕たちは目を見開いた。
「うそ、凛ちゃん?」
「久しぶり」
元気?と彼女は懐かしい声色でそう言った。