第4章 Rouge begins
「どういうことですか?」
「どうも何も、説明した通りだ」
分かるでしょ?とホークスはゴーグル越しに鋭い視線を送ってくる。
決定事項には黙って従え、そう言われている気がしてならない。
けど、ここで引き下がる訳にはいかない。
「私は…ヒーローじゃない」
やっとの思いで出た言葉に、傷ついている自分がいることに、情けなく思う。
最近は少し暖かくなり寒さも和らいで来たといえども、ここは高層ビルの最上階。
ただでさえ風が吹き荒れるここは真夜中なら尚更冷える。
「確かに君はヒーローじゃない。だけど」
バサリと、夜にも映える燃えるような色の羽を広げホークスは立ち上がった。
「手に入れるんだろ?ヒーローが暇を持て余す社会」
「…貴方がそれ言っていいんですか?」
「ははっ、」
生意気。そう言って人の悪い笑みを浮かべたホークスは颯爽と夜の闇に消えていった。
ここは九州で明日の約束の時間に都内に着くには今すぐにでも移動し始めなければならない。
ふと脳裏に浮かぶのは懐かしい彼らの、彼の姿だった。
最近の彼らの活躍はメディアでも大きく取り上げられることが多いし、ニュースで見ない日はない。
「潮時かなぁ」
この先のことを考えて出た溜息は白く冷たいものだった。