第4章 Rouge begins
みんなは気を使ってくれたのか、少し離れた所で相澤先生と話している。
「かっちゃん」
かっちゃんはボロボロだ。
コスチュームの至る所が破けているし、擦り傷やら大きな傷が体に刻まれていて痛々しい。
「あのね、」
こんなにも早く再開出来るとは思ってもみなかった。
もう会うつもりもなかったし、二度と会えないと思っていた。
そういう、契約を交わしたから。
彼らは、これからプロヒーローとして華やかしくデビューして活躍して人々の光になることが決められている。
けど、私はどうなんだろう。
彼らが光なら私は影だ。
どっぷりと裏の世界に浸かっていれば、信念もなければ情もない。
命令があれば容赦なく人を討つことだってある。
「凛」
真っ直ぐに、かっちゃんが近づいてくる。
赤く射抜くような目に睨まれれば逃げられない。
言葉とは裏腹に私を見るその赤い目は熱を持っている。
「好きだよかっちゃん」
もう、隠し通せないと思った。
どうせ金輪際会えないのなら、全て吐き出してしまいたかった。
「ずっと、好きだったの」
何十年と隠してきた想いは口にすれば早かった。
頬を伝う涙は言葉を代弁してくれているみたいに、ぽろぽろと止めどなく流れ落ちる。
「出来れば貴方と一緒に居たかった」
本当は、私も、貴方たちと一緒に、ヒーローになりたかった。