第2章 merry you
もはや名物と化していた、爆心地のルージュへの公開プロポーズ攻撃の報道が止み、別のビッグニュースが世間を騒がせる頃、俺と凛は式を挙げた。
反対していたホークスも、俺の両親も涙を浮かべて祝福してくれ、二度とあんな真似はするなとホークス、ババアとジジイにはそれぞれ一発ずつ食らい、式に参列したデクからは二度と浮気しないという文書にサインさせられた。
破った暁には今度こそ制裁が下されるらしい。
なんだお前ら、セコムが。心配せずとも二度としねーわ。
凛が俺を好きでいることは、もう十分わかってる。
「おい、来週の金曜、空けとけよ。ババアたちと食事行くぞ」
結婚式の写真をリビングと玄関に飾り、細い肩を抱き寄せる。
何百回目かのプロポーズが受け入れられた日から、こうして触れ合うことが増えた。
気恥ずかしいが、歓喜と愛おしさが勝る。
流れるように小さな唇にキスを落とすと、凛も恥ずかしそうに頬を染め、カレンダーを見てスケジュールを確認する。
「だめ。その日約束があるから、土曜日でもいい?」
「あ゛?誰とだよ」
「啓悟さんと新しくできた焼き鳥屋に…」
「そいつと!!!つるむのを!!!やめろ!!!」
懇願を籠めて叫びながら凛の頬を引っ張る。
いひゃい、なんて喚く、世界でたった一人の愛おしい女を睨みながら。
俺は凛を軽々と抱き上げ、新調したキングサイズベッドに放り投げた。