第2章 merry you

「凛はどうして何も言わないのかなあ？…あ、言っても無駄、だと思ってるからか」


会心の一撃。

過去最大級の衝撃が俺を襲った。

崩れ落ちるように机に突っ伏す俺に、ホークスが追い打ちをかけてくる。


「それに凛は覚悟決めたら見切りつけんの早いから。どれだけ好き、とか関係ないから。ああ、終わったなって思ったらすぐに心切り替えられるから」


ペラペラと喋りやがってらグサグサと痛む俺の心の音が聞こえねぇのか。


「そもそも、凛に好きとかって言ったことある？凛は言われたことそのまま捉えるから、バクゴーの“照れ隠し”もそのまんま伝わってると思うよ？」


言ったことをそのまま…俺は頭を抱えた。

凛と付き合うようになってからも、つい昔の癖で罵詈雑言を吐く癖は治まらず、ブスだのデブだのと随分な物言いをして来た。

けれど、これだけ付き合いが長いのだから、それらを本気で言っているわけではないと分かってるはずだと、そう思っていたが…


『私みたいなブス、彼女にはしないよね』


（微塵もわかってねぇわ…）


自業自得。これ以上の言葉はない。