• テキストサイズ

【イケメン戦国】徒然後日譚―短編集—

第4章 急―御手柔らかに―


「謙信様に勝てるとも、勝とうとも思っていません。腕相撲も雑談のついでです。私は、どうせ謙信様と一緒にいて手に触れるなら、手を繋いでのんびり寄り添っている方が良いです」
拗ねているくせにこの上なく可愛らしい事を言うが愛しく、謙信は一層心穏やかになり、自分の腕の中にいるの髪に口づけた。
「そう愛らしい事を言われると俺も弱い。……そうだな。佐助は大目に見てやるが、他の男は許さんぞ」
「……はい」
「では、お前の望む通り、この手を握って月が浮かぶのを待とう。俺もこうしていたい」
手を探って指を絡ませるとも笑顔で顔を上げた。
「やっぱり謙信様は優しいですね」
出会った頃と変わらない事を言うに、出会った頃とは違った心地で謙信は口づける。
「お前には優しくありたいからな。どろどろに甘やかして可愛がりたい。だが、お前の優しさには到底敵わん」
困ったような、恥ずかしそうな顔では笑う。
「私はとても幸せ者ですね」
「俺も幸せ者だ」
二人は笑いながらじゃれるように唇を重ね、明り取りの窓に月が浮かぶのをのんびりと待った。

/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp