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【イケメン戦国】徒然後日譚―短編集—

第5章 跋―振り駒狂い—


新月の暗い夜、閨で謙信がまだ大人しい口づけを頬や耳朶に繰り返し、肩口に顔を埋めて抱き締めているのを心地よく受け止めながら、それでもは最近気にしていた事を口にする。
「あの、謙信様」
「なんだ?」
肩で呼吸を感じる。
声はまだ落ち着いているが、吐息が熱い。
「こうして一緒にいられるのは嬉しいのですが、お疲れではありませんか?」
謙信の月光色の髪を撫でながら問うと、謙信は顔の角度を変え、首筋をきつく吸う。
「んっ……」
まだしばらくじゃれる様な口づけや抱擁をしているものだと思っていたところに微かな痛みを伴う熱い唇に小さく声が上がる。
「どういう意味だ?」
白い首筋に紅色の鬱血痕を残した痕も舌を這わせながら口づける謙信は、どうやらの質問が不満らしい。
「ですから……、謙信様は戦が無くても、内政にもお忙しいじゃないですか」
「だから何だ?馴れている」
熱っぽい息に乗せて艶めく声で話されると、首がくすぐったく、それでいて体中が少しずつ疼いてくる。
「ですから、……しょっちゅう夜更かしをしては、お身体が疲れる、かと」
謙信がの首筋を味わいながら小さく笑った。
「なんだ、俺の心配か?」
「そうで……す」
「てっきり肌を重ねるのに飽きたと言うのかと思ったぞ」
顔を上げて甘く微笑む謙信には頬を赤らめる。
「あ、飽きるどころか、まだ慣れもしませんっ!」
「ほう?これ程に身体を繋げても馴れないか?お前の身体は恥じらいながらも愛らしく俺を迎え入れ、良い声で鳴くというのに」
意味ありげな手つきで頬を撫でらる。
「何度しても、ずっと、平常心でなど出来ませんよ」
正直な言葉に謙信は笑みを深めて口づける。
「……お前の言うことも一理ある。俺も何度お前を抱いても物足りぬ。疲れなど感じぬ程に飢えを満たす事しか考えられなくなる」
強く抱きしめられ、は謙信の身体の重みに心地の良いため息をもらした。
「けれど、睡眠もきちんと摂っていただきたいですよ。いつも私が先に眠ってしまって、朝も謙信様が先にお仕事へ出かける事が多いです」
「俺はお前より無理がきく。俺が欲しがるままに付き合わせて抱き潰しているのだから気にするな」
「でも……」
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