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【イケメン戦国】徒然後日譚―短編集—

第2章 破 ―信長の手習い―


つらつら考えた末に苛立ちは消えないが、そもそも気質が違い過ぎる。

冷静になれば、信長が奔放で放任主義だったお陰で迂闊な油断が生まれ、と出会うことが出来た。
信長が酔狂にを戦場に連れてきたからこそ、を自分の手元にさらうことも出来た。
そう思えば信長も失策をおかしている。
自分の嫉妬深さや束縛の強さも我ながら度が過ぎているが、を逃がさない為ならやはり必要だ。

ため息をついた謙信の口元には自分では知らずにほんのり淡い笑みがあった。
享楽家で傲慢な信長はやはりいけ好かないが、その鷹揚な柔軟さは認めている。
自分の遣り方を曲げないのはお互い様である。
その自分の遣り方をは好きだと言ってくれるのだから、それで充分だと思えた。
時に刀を交え、時に手を組んだ後では、信長の強味も分かる。
気に喰わないからと切り捨てるのは愚かだ。
相手を知れば戦略にも活きる。
せいぜい次に刀を交える際に存分に返してやれば良い。

謙信は信長の遊び心に満ちた短い書を眺め、どう攻略してやろうかと楽しく考え始めるのだった。
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