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【イケメン戦国】徒然後日譚―短編集—

第2章 破 ―信長の手習い―


は困り果てて潔白を強調するが、謙信にとって問題なのは信長の真意の方である。
そんな謙信をよそにはため息混じりに話を続ける。

「でも、もし佐助君と立場が逆で、四年早く戦場に飛ばされていても私じゃ謙信様を助けられなかっただろうから、やっぱり良かったのかな?救急手当なんてこちらで覚えた事くらいだけど、佐助君は知識がしっかりあるもんね。……それで、あれこれあったわけですけれど、信長様は私を……もしかしたら異国の人間と思っているかも知れません。」
思わぬ発言に謙信は怪訝な顔になる
「異国の?何故だ?」
確かに肌の白さや、やや色素の薄い髪や大きな瞳は特別に思えるが、人間としておかしな所はないし言葉も普通に通じる。
実際、自分はそんな発想でを見たことは無かった。
「服装が全く違ったので」
「……ああ、確かに、佐助も最初珍妙な恰好をしていたな」
と佐助が顔を見合わせ、「確かに、ここでは珍妙と思われるかな」と頷き合う。
「それに、信長様の部屋で地図を見た時に私が海岸線を知っている事に驚いていたので。私が見慣れている地図ではなかったので少し変だなと思ったのですが、考えてみたらまだ様準的な地図はなかったんですよね。けれど、おかげで少なくとも正気であることは証明出来たので良かったです」
佐助も思い当たる。
「そうだな。確かに俺達が見慣れてる地図って角度に振り切った図法だから国のサイズ感が違うし違和感があるんだよね」
とブツブツ独り言を言う。
「えーと……なので、異国の流れ者かと思っているのかもしれないなと。身寄りの無い私の……まぁ、父親という御歳ではないですが、そういう保護者のような気持ちで世話を焼いて下さったのかと思います。武将の皆さん、口では厳しいことを言ったり揶揄ったりしても、やはり面倒見がいいので」
謙信は僅かに緊張を緩めるがため息がもれる。
「確かに文でもお前の後見人を名乗っているが。それにしても逆撫でする文脈だ。俺からすれば、信長が我が物顔でお前の後見人だと俺に言い渡すのは癪(しゃく)だ。「何かあればすぐに返してもらう」など、言い草が腹立たしい。よくよく思えば他の武将もやけに馴れ馴れしかったな」
不満がおさまらない謙信に佐助も「まぁまぁ」と宥める。
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