第12章 陶酔 十葬儀屋十裏
「君は、どうしてあの夜、
自殺しようとしていたんだい?」
いつかの夜に、葬儀屋さんは私に尋ねた
「んー、私ね、実は結構裕福な家庭で育ったの。
でも、家庭のトラブルでいろいろあって…
家さえも無くなって絶望していたんだ」
葬儀屋さんの長い髪を弄りながら正直に話す。
こういう些細な時間さえも幸せを感じられるようになった
「今も君は、死にたいと思っているのかい?」
「全然!!これっぽっちもないよ!
私、葬儀屋さんと出会ってから、変われたの。
物でも何でもいい。葬儀屋さんとこれからも一緒にいたい。生きていたいって」
私がはっきりそういうと
葬儀屋さんの綺麗な目がキラリと一瞬光ったように感じた。
「そうかい。ありがとう…」
やっぱり
葬儀屋さんに、抱き締められると
安心す……
「…っぁ……!?」
背中が痛い