第2章 近づく距離
サキ サイド 続き
かかしの苦悩はわからない。
でも最初にかかしを見た時以上に、彼の闇が深く深く感じられた。
かかしは強いけど…
弱いんだな
その弱さ、いったい誰が受け止めてあげてるんだろ
弱い…
でもその弱さを越えれば、さらに強くなれることもできる
それができるのは、かかし次第なのだ
その弱さとどう向き合うか、誰が支えになるのか
いまはこうして真っ黒なものにとらわれているが、この人には似合わない
きっともっと色鮮やかに変えていける、そうおもった
「ありがとう見せてくれて。かかし…あなたって弱いね…」
「…はは‥俺のこと弱いっていう人、初めて見たよ。
…そうかもね、俺は、ほんとは弱い‥」
「かかしが持っているこの真っ黒な部分はとても深いものだと思うけど、いずれそこにできた穴を埋めて、真っ黒なものから、ちゃんと色をつけていけるようになるから。
本当の意味で強くなれるからさ。
…今は私の言葉を理解できないかもしれない。
でもいずれわかるときがくる。
だから、そのままでいてね。かかしは、そのままでいいんだから。」
そういってかかしの両目を、かかしのあらわになった顔すべてをみつめて私は言った。