第1章 真っ黒
かかしサイド
今夜はなんだか眠れない。
こーいうときはなにをしても寝付けない。
いつものことだ。
だったらちょっと散歩でもいくかと、夜しずかになった里を、なんとなく散歩していた。
あーあの火影岩のところは眺めもいいんだと思った瞬間、そこにもう瞬身でむかっていた。
そこに到着すると、どうやら先客がいるらしい。
黒髪をなびかせながら、誰か一人で飲んでいるようだ。
「こんな時間に、こんなとこで一人飲み?」
誰かがいるとわかっていて無言も気まずいので、なんとなく声をかけてみる。
すると彼女はこういった。
「いいの。今日はこういう気分なんだからさ。そーいうあなたもこんな時間に、ここで一人散歩でも?」
「まぁね…そんなところ」
なんにしろ、彼女も俺もここでこうしてぼんやりとした時間を過ごしたい時なのだ。
だったらお互いに邪魔せず、お互いに好きなように時間を過ごしたらいい。
俺はとりあえず彼女から少し離れた場所に腰をおろした。
里は静まり返っている。
ところどころまだ灯りはついているが、みんな寝ているのだろう。
里は今や落ち着いている。
でもここまでくるのに、俺はたくさんの大切なものを失いすぎた。
それでもこうして、まだ生きながらえている。
昨日三代目から暗部の任を解かれ、下忍を育てる担当上忍としてやっていくことを任務として言い渡されたところだった。
俺が、誰かを育てるのか…
誰も守れなかったおれが…
そんなことをあれこれ考えているうちに、隣にいる彼女がいった。
「ねぇ…」
彼女をみると、彼女は俺の左胸あたりを指さしてこういった
「…あなたのここ‥…真っ黒‥‥」