第3章 サキの術・少年時代1
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「サキ、俺のこと見すぎ。さっさと寝ろよ」
布団を隣同士にしいて、隣に横になっている君をじっと見ている私にあきれてそう言われた。
ううん、寝るのはもったいない。
君の闇を少しでも一緒に抱えてあげたいから。
誰かがいることに安心感もでたのか。
やっぱりまだまだ子供だな…
トロンとした目が、そのまま静かに閉じる。
こんな小さな時から独りぼっちになってしまっていたんだね、かかし…
大きな闇の始まりと反対に小さな君。
それを思うとギュッと胸が苦しくなる。
ちょっとだけ起こさないようにそっと髪の毛を撫で、小さな体を上から下へ何度もさすった。
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あれからどれだけたったか、突然君は口を開けて何かをつぶやく。
「とう…さん…いかない、で…」
私にうつるちいさな君は、目元を涙で光らせて、その小さな体で、真っ黒で冷たい大きな孤独に半分のまれていた。
「かかし」
そういってうなされている君を起こすと、ビクっと驚いて私をみる。
「おいで」
そういって、孤独のオーラに飲まれたかかしを抱き寄せて、自分の胸の中に小さな君をうずめる。
いつもの君なら抵抗するだろう。
でも今は、そんな場所を求めていたかのように君は素直に応じる。
「サキ…苦しいって…」
恥ずかしそうにもがく君を私はもっとぎゅっとして
「照れないの。言ったよね?今は特別な時間だって。かかしの苦しみを…分け合うための大事な時間」
そういって、銀髪をなでおろした。
もがくのをやめて、素直に私に撫でられている。
しばらく黙っていた君は、私の胸の中で静かにポツリ、ポツリと言葉を吐き出し始めた。
「あのさ…俺の父さん…すごい忍びだったんだ…」
「…うん…」