第3章 サキの術・少年時代1
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お風呂に入った君は、少し穏やかになっていた。
警戒心も完全にといており、マスクもはずしている。
それは可愛らしくて、そして反対に強がるところがまた愛しい。
「サキもはいれば」
なんていうから何の迷いもなくさっさと冷めた体を温める。
「お前は遠慮ってもんはないのか」
なんて言われたけど、結局お父さんのTシャツを貸してくれて、そのぶかぶか具合に、かかしのお父さんも長身でかっこよかったのだろうと思った。
「サキ、お前里で見たことない顔だけど一応…木の葉の住人なんでしょ?忍びの服着てるし」
「うーん、まぁね。あんまりくわしくは言えないんだけど怪しいもんじゃないから」
「十分それが怪しいでしょ」
「そう言わないでって。かかしくんっ」
いたずらに君の名前を口にすると、君は思った以上の反応を示す。
「!?…なんでっ?!なんで俺の名前…」
「驚いた?ふふっ私とかかしくんのこの出会いはちょっと特別なもの…今は私とかかしくんで分け合う時間なんだ」
「分け合う??‥‥なにそれ、なんかよくわかんない…でもとりあえずかかしくんってやめて。かかしでいい」
「わかったわかった、かかしっ」
そのあと私と君は一緒にご飯を作って食べる。
「サキ、お前料理したことないでしょ?なんでそーなるの」
「邪魔。もう手ださなくていいから」
なんて、泣いていた姿が嘘のように、私にブツブツ文句をいったり、ちょっとほっぺを赤くして
「ほめても何もでないから」
「もうそんなこっち見ないで」
「もう子供扱いしないでっていってるでしょ」
とツンツンしながらかわいらしい姿を見せた。
最終、
「え?サキ泊まるの?…だめじゃないけど…やっぱお前ってほんと遠慮ないよね」
と三白眼で見られる。
そんなこと言われても、図々しくそのままお泊りまでする私。
だってこれは特別な時間だから、できることなら君の傍にいたい。