第3章 サキの術・少年時代1
かかしサイド
サキは俺を座らせたあと、その隣にドサっと座って俺に肩を回す。
俺も俺で悪い。
どういうつもりで、俺もこうして上がり込んでしまったのか。
でも、彼女の眼は俺のどこまでも奥深くを見抜いてくる。
不思議な感覚がどうしてもぬぐえなかった。
かといって、こうも攻められても、悪い気はしないけど…
と動揺しながらグルグルと考えていると、サキは言ったんだ。
「かかし。ちょっとだけ…助けてあげる」
そう言いながらも、サキはいたずらに俺をからかってくる。
本当に彼女が俺の闇にこれ以上踏み込んできたら?
それとは別に男と女としてただ楽しむだけの関係になったら?
ちょっと待って、どっちもそこまで予想してなかった展開…
「なーんちゃって。いじめすぎたね。ごめんごめん。
でもね、かかしのことちょっとだけ助けてあげるっていうのは本心だよ」
驚いた俺には、サキの言葉の意味がわかるようでわからなかった。
そういった彼女は、もう一度俺の肩に手を回し、胸に当てた右手にチャクラを集中し唱えた。
「心理術・明晰遡及(しんりじゅつ・めいせきそきゅう)」
すると、俺にも見えるようになった真っ黒な渦が胸に大きく浮かび上がる。その中にそのままサキは右手を突っ込んだ。
「くっ‥‥あぁ!」
胸に圧迫感を感じたあと、サキは言った。
「開けたよ。ちょっとだけ、かかしの闇の中にいってくるからね」
それだけ聞いて俺の意識はブツンと途切れた______