第3章 サキの術・少年時代1
サキ サイド 続き
いたずらに笑う酔っ払いの私に、かかしはいろんな意味でヤバイと思ったのか私の両腕をつかんで待ったをかける。
「サキ、ほんととりあえず落ち着こ?酔っぱらってるでしょ?絶対頭回ってないから、その…先走るのはよくないっていうか…」
私の言葉をどう理解したのか焦るかかしはおもしろい。
「なーに?かかしは何想像してんの?
私にその真っ黒な部分を探られたくないっていう焦り?
それとも、私とこれから楽しいことするかもしれないってことに関しての焦り?」
それを聞いて右目しか見えないかかしのほっぺが赤くなる。
「…そんなの…最初にゆったほうでしょ…」
きゃははっっと、声高らかに笑ってしまった。
「ほんとに私にさぐられたくないって方だけ?
じゃあ、なんでかかしは私が帰ろうとしたとき呼び止めたの?家にも入ってきちゃったし」
「それは‥‥」
ガシガシと後ろ髪を掻きあげながら、視線をそらすかかし。あーいじめすぎたかな。
「なーんちゃって。いじめすぎたね。ごめんごめん。
でもね、かかしのことちょっとだけ助けてあげるっていうのは本心だよ」
あやまる私に、ほっとしたような表情を見せたのち、また驚いた表情で私を見つめる。
もう一度、かかしの傍にピッタリと寄り添い、左手でかかしの肩に手をまわし、右手は真っ黒な渦巻く場所にあてる。