第4章 ○8月4日 浴衣の日 / 甘
『勝己くん、お願いっ!』
「……断る」
『…うっ』
このやりとりは何度目かわからない。
お祭りがあるから一緒に行きたかったのに。
人混みが嫌いなのはわかってるけど、せっかくだから勝己くんと行きたかった。
『じゃあ、出久くんと行こうかな……』
最終手段、ぼそっとそう言ったら、勝己くんがぴくっと反応した。
「…チッ、クソデクと行くくれぇなら、俺が行ったる」
『やったぁ!』
こうして、勝己くんと一緒にお祭りに行くことになった。
光己さんに支度を手伝ってもらって2人して浴衣で行く。
浴衣姿の勝己くんはほんとにかっこよくて、終始顔が熱い。
ー私は似合ってるのかな?ー
光己さんには、すごく可愛い!とは言われたけど、ちらっと勝己くんを見る。
「 …バッ、こっち見んじゃねぇっ///」
『…えっ//』
ー 勝己くんも顔赤い?
それだけわかれば私は充分で思わず顔がにやけてしまった。
お祭りは当たり前だが、すごい人だった。
なるべく人混みを避けて歩く。
その間、勝己くんは人に当たらないようにかばってくれた。
『ごめんね、勝己くんっ…』
「いいから、ちゃんと歩けっ」