第30章 寝ている友達の前で / ※微裏
勝己くんから今日は、晩ご飯はいらないって言っていた。
誰かと食べてくるのかなぁ?、なんて考えていると、ガチャっと玄関の開く音がした。
『おかえり、…なさい?』
「…ん、わりぃ、捕まった…」
「捕まったってなんだよー」
急いで玄関に向かうと、お友達を連れて帰ってきた勝己くん。
隣には同級生で同じプロヒーローの切島くんだった。
何度か家に来たことがあって、私も知っている。
友達なんて連れてこない勝己くんだけど、切島くんは別らしい。
『切島くん、いらっしゃい!』
「世話になります!」
晩ご飯は、切島くんと食べたみたい。
そのまま飲もうぜ!って流れで家に連れてきたそう。
途中で、いろいろ買ってきたみたいで両手に荷物がぶら下がっていた。
「てきとーなもん作るから、お前座ってろ…」
『何言ってるの、私作るからいいよっ!』
「お前、飯、食ったんか?」
『うん、適当に食べたけど…?』
「……そか、…わりぃな」
何がだろう?なんて思いながら、私は勝己くんの荷物を横取りして、キッチンに向かった。
料理してる間にいろんな会話が聞こえてくる。
珍しく上機嫌な勝己くん。
ときどき笑い声がして、本当に仲がいいんだなぁと思っていた。
『おまちどうさまー』
「すんません、お手数かけちゃって」
『いえいえ、勝己くんのお友達だもの!切島くんたくさん食べてくれるから作りがいがあるし!』
「あざっす!」
ふふっと微笑み返すと、私はキッチンに向かった。