第20章 Murderer / ▲▲
「誰か、いるか!」
意識が朦朧とする中、見上げると一度テレビで見た、ヒーローの爆心地だった。私と目が合うと、大丈夫か?と身体を支えられる。
「もう少しだけ、我慢しろっ」
彼の匂いだろうか、甘い匂いにまとわれながら、私は意識を手放した。
目を覚めると白い天井が見えた。
『リルル!!』
「…っ!!」
声がする方を見ると、彼氏がそこにいた。
まる2日間寝ていたみたいだった。
いろいろ質問攻めにあい、私は全てを話す事にした。
大半怒られてしまったが。
「どうして言ってくれなかったんだ…」
『だって、もしものことがあったら…』
「俺なら大丈夫だ!」
だから、ずっと一緒にいよう、と言ってくれた。
そんな彼氏が、今、遺体となって、私の前にあったー。
ー なんで、どうしてっ…私に恨みがあるなら私を襲えばいいのに!
泣き崩れる私。もうどうしていいかわからなくなった。
「ひでぇな」
ぽつりと呟くのは、爆心地だった。 私の家は全焼してまた彼に助けられた。
「ヴィランのやつら、だな…」
という彼。でも私はその言葉に違和感を持った。彼の匂いだ。遺体からもかすかに匂う同じ匂い。
その瞬間、ぞっとして吐き気を感じた。
ー もしかして、もしかしてもしかして、今までの全部…
「平気か?」
触ろうとする彼の手をはじき返した。
『う、そだ・・・な、んで』
「あーやっと気づいたかよ、リルル」
「お前に近づくヤツは片っ端から、殺ってやるよ」
END