第20章 Murderer / ▲▲
最初はほんと偶然だと思ったー。
「あ、リルルちゃん、こんにちは、今日も可愛いね」
『こんにちは、またそんなこと言って、冗談お上手ですね』
近所の大学生さん、私がお休みの日に、お昼時になると見かけて挨拶してくれる。じゃあまたね、って言って別れる。
でも、
『 また 』は訪れなかった。
仕事からの帰り道、近所のおばさん達が噂していた。
ー 亡くなったらしいわよ?
ー え、そこの大学生さん?
ー そうそう、火事で…
「えっ…そんな…昨日まで、普通だったのに…」
この日を境に、私の日常はおかしくなった。
「いらっしゃいませー、あ、リルルちゃん!」
『こんばんは…』
「今日もコンビニ弁当? 栄養つけないと!」
『ありがとうございます…』
「あれ、どうしたの? 元気ないけど?」
人懐っこい、アルバイトくん。私が引越してきてすぐに、良くしてくれた人。
『何でも、ないんです、いつもありがとうございますっ』
「そうそう、リルルちゃんは、笑った顔が可愛いから」
ありがとうございましたーって、ひらひら手を振ってくる。ちょっとばかし、元気になった気がする。
そんな様子を見られているとは知らずにー。