第2章 ○5月5日 こどもの日 / 甘
「リルル、どうすんだこのガキ」
『可哀想だから、探してあげよう?』
「チッ…」
買い物は一時中断してとりあえず両親を探すことにした。
勝己くんはなんだかんだ面倒見がいいので、女の子から親の特徴とか名前とか聞きだした。
迷子の場合は、下手に動かず迷子になった場所に向かう方がいいと思いその場所へ向かった。
抱きつくと歩きにくいということで、勝己くんは女の子を抱き上げる。
まるでお父さんが抱っこするような。
一瞬、きゅんと胸が高鳴る。
本当のお父さんみたいで、私はその姿を一歩下がって見つめていた。
「あー! いたー!」
女の子が叫び、無事に女の子のご両親が見つかった。
だけどー
「やだやだ、お兄ちゃんとまだ一緒にいる!!」
そう言われて?なかなか離れず大変だった。
すごくわかるよ、離れたくないもんね、
でも私のだからっ!って何言ってるの私。
そんなこと思っていると、勝己くんから急に頭に手を置かれた。
「なに、嫉妬してんだバーカっ」
そのまま、頭をくしゃくしゃにされた。
え、なんでわかるの? ずるい、ほんとずるい。
「はよ、デートの続きするぞっ、リルル」
『え、あ、うんっ///』
そう言われて機嫌が良くなるのは、すごく単純な私である。
END