第2章 ○5月5日 こどもの日 / 甘
2、3日前、勝己くんから、買い物、付き合えや、っていうメッセージが届いた。
お誘いなんて珍しいな、なんて思いながら、いいよって返事をした。
そして今日、近くのショッピングモールにやって来た。
『珍しいね、勝己くんがついて来て、なんて』
「わりぃんか」
『んーん、嬉しいけど?』
ふんっ、と先を歩く勝己くん。
ほんのり赤くなってる耳は見なかったことにしよう。
ふと、女の子が1人で泣いているのを見つけてしまった。
『勝己くん、ちょっと待って!』
「あぁ?」
私は、女の子に駆け寄り、どうしたの?と聞いてみた。
「ぐすっ…お父、さんとお母さん、と、はぐれて…」
迷子の女の子だった。
女の子だし、放っておくと危ない。
『ごめん、勝己くん、迷子みたい』
後ろにいる勝己くんに、そう言うとあきらかに不機嫌な顔になった。
あろうことか、あの顔で、女の子をガン見する。
『勝己くん、顔怖すぎるよ…』
「知るか」
女の子は、視線を感じたのか勝己くんの顔を同じくガン見する。
見つめ合うこと数秒、嫌な予感がしたけど、あろうことか女の子は泣き止んで、勝己くんになぜか抱き着いた。
『えっ⁉︎』
「……」
意外だった。
確かに普通にすれば、勝己くんはかっこいい部類。
なんかこっちを見られてる気がするけど。
見た目は子供でも流石女の子だなぁと感心してしまう。
勝己くんも、これでもヒーロー目指してるので振り解いたりせず、そのまま抱きつかれている。
顔は相変わらず怖いけど。