第17章 爆心地と濡れ場を演じる / ※微裏
ーあ、あれ…? な、なんかしたかなっ…
とりあえず今は気にせずに次のシーンのため、着替えに向かった。
再びスタジオに戻ると彼はもうスタンバっていた。
彼の部屋で私を待つシーンからそのまま濡れ場に入る。
監督と私は顔馴染み、だから濡れ場は特に指示がなくて、私任せにしてくれる。
基本愛撫だけのシーンだから問題ないんだけど、彼はそういうの大丈夫なのだろうか、心配したけどカメラが回り始めたから、役に入った。
*
部屋のドアを開けると、彼が上半身裸でバスタオルを首にかけていた。
そして枕側に壁があってその壁にもたれているように座っていた。
ー その姿が凄い煽情的で、不覚にもときめいてしまった。
『…ごめんなさい、待たせちゃったよね』
「…別に」
『…私もシャワー浴びていい?』
「…その前に、ちょっと来い…」
『…な、にっ…きゃっ⁉︎///』
言われた通り彼の側に寄ると、そのまま引き寄せられて押し倒された。
「…いつまで、こんな関係、するんだよっ…」
辛そうな表情、切なそうな声で彼は言った。
私は、視線を逸らして言う。
『…そう、だよね…終わらせない、と…いけないね』
「…っ! 、終わらせるわけねぇだろ…っ…」
『…っ⁉︎』
ー こんな表情出来るんだって、少し驚いた。
ヒーローに関しては知ってることは少ないけど、爆心地さんが凄いヒーローだっていうのはテレビやら雑誌で知っていた。
そしてほんの少しだけど、ファンでもあった。
『…でも、私は、あの人を裏切ることなんてー』
「…俺が、あいつから、奪って、やるよっ!」
『…ふっ、んんっ///』
両手を押さえつけられたまま、口付けされた。
荒っぽいけど、どこか優しさが混じった口付け。
ー いろんな俳優さん達とキスをしてきたけどっ、何これっ、頭がくらくらしてくる 。