第1章 貴方のために出来ること
【目線】
傷を負って療養して、半年が経った。
献身的な家康の治療と、政宗の栄養価の高い食事、佐助くんと家康が考えて当番制にしたリハビリ。
秀吉さんのリハビリは家康の作った手順通りで、痛みがあっても、涙を見せてみても、やることはやる!の一点張り。でも、その後は必ず甘味とお茶が待っていて、【飴と鞭】が上手だなぁ。と感心するほどだった。
三成くんのリハビリには、必ず秀吉さんがついてきて、結局秀吉さんの時間に変わる。
でも、三成くんのエンジェルスマイルで、やりこなすことが出来た。
光秀さんのは、やはり意地悪で。
腕を上げるリハビリは、数が途中から減る。
結局いつも五回以上は多くやっていた。
政宗のリハビリは、秀吉さんのとは真逆。
手順何てお構いなしで、その時の気分でやる。
揉みほぐしをひたすらやる時もあれば、私の好きな歌を歌っている間、腕を上げるとか。
政宗の時間は、リラックス出来た。
家康の時間は手順通りと治療も一緒で、どのくらい出来るようになったかとかも確認するから、サボっていないかバレやすい。
信長様とは、このリハビリの時間が夫婦の時間だった。
西への制圧の準備と広い領地の政務を同時にこなす信長様の空き時間は限りなく少ない。
私のリハビリの時間を早く切り上げて、抱き締め合うように昼寝をしたり。
遠乗りの計画をたてたり。
私の世界の夫婦の話をしたり。
助けてくれた子供話をしたり。
頬を撫でる仕草をきっかけに、たくさん口付けたり。
幸せな時間だった。
全てが上手く回って、私は麻痺や痺れも残らずに済むことが出来た。
小さな傷でも化膿して、そこから命を落とすような時代で何事もなくこれたのは、幸せな事だと思う。
傷を負ってから、体が元に戻るまで生理も止まってしまった。咲と家康はすぐに気付いて、信長様に知らせていたと思う。
やっと巡ってきた久しぶりの生理は、かなり重くて寝込んでしまう始末。
家康が作ってくれた薬を飲んで、政宗が作る汁物で体を暖めて。貧血が進んで動けない日は、精のつく物をと食べやすく作ってくれた。
止まっていた生理が再開したことは、私だけじゃなく信長様も、みんなも安心したと思う。