第18章 明日がくるなら
『だってお前、湖都の事、ちらちら見てただろ?』
「えっ、そうなの?」
『見てたな。』
『光秀さんまで!見てません!』
「三角関係…かなぁ。」
『三成と家康が…。おもしれぇ。』
『面白くないから。も、焚き付けないで。』
「はいはい。でも、なんかあったら相談のるからね!」
『『俺たちもな。』』
『あんたら、楽しんでるだけでしょうが!』
心地よい笑い声と共に、夜はどんどん更けていく。
踊り出す人がいれば、奏信を撫でたいと願い出る人もいる。
私と信長様が繋いだ先に、奏信が産まれた。
いつかまた家族がふえるだろうけど、その時にしっかり抱き締めてあげられるような母(ひと)になりたい。
『いい女になったな。』
「光秀さん。急になんですか!」
『見たままを言ったまでだ。』
「誉め言葉、ですか?」
『そうだろうよ。俺も同意見だから。』
『俺も。』
「政宗、家康…。皆のお陰だよ。私、幸せ過ぎて涙が出そう。」
『。』
「あっ、信長様。」
『奏信がぐずってきた。腹が空いたのかもしれぬ。』
「あ、おむつかな?」
『それは、秀吉が替えた。』
「えっ。」
『『もう?』』
『兄様は何になりたいのだ?』
皆が顔を見合わせて笑い出す。
私はこの瞬間が愛しくて堪らない。
陽が暮れて、星が瞬いて
そしてまた陽が登る。
いつの世も 変わらずに
明日がくるなら
私は今日よりも、もっと沢山の愛で
皆を
奏信を
貴方を
包み込んであげるんだ。
私の中にある
ふるさとの暖かな思い出と愛情と共に。