第28章 ○幼なじみの恋人と / ※甘裏?
僕が触れる、癒月さんに。
手を差し出すと、ふわっと乗せられる小さい手。
『…っと、うわっ///』
「…えっ!?」
手を掴んで立たせようとするけど、バランスを崩して僕の胸に飛び込んできた。
「……えええっと、癒月さんっ!?///」
『ご、ごめんなさいっ//』
でも癒月さんは僕から離れずくっついたままだった。
「… 癒月、さん?//」
『少しだけ、このままでもいい?』
「……えっ」
幻聴だろうか。
僕の憧れてる人が僕に抱きついてくれてる。
でもこの人はかっちゃんの彼女。
かっちゃんを裏切ることなんて出来ない
けど、僕はー
自分の気持ちに正直になってしまった。
「僕の家に来ない?」
家に誘ってしまった。
今更、後悔なんて遅いけど。
癒月さんは僕のベットにちょこんと座っている。
どうしてついてきたんだろうか。
僕はテーブルにお茶を出すと床に座った。
「…えっと、お茶どうぞ?」
『うん、ありがとうっ、緑谷くん、本当にオールマイトが好きなんだね』
キョロキョロと見られて、恥ずかしくなる。
君ほどではないけど、なんて言えたらどんなにいいか。
「…かっちゃんと、なんかあったの?」
聞いてはいけない気がしたけど、気になって聞いてしまった。
さっきまでは明るかった癒月さんの顔が曇った。
『うん、ちょっとした喧嘩だよっ』
「そっか…」
それ以上は聞けなかった。
泣きそうな顔をしていたから。
「…えっ、えっと、どうしよー」
『緑谷くんー』
僕が話そうとしたら癒月さんに遮られた。
『私のこと…好き?』
「…へ!?///」
一瞬にして顔が熱くなるのがわかった。